NEW ビジネススタイル2026/07/27
都市の気配を受けとめ、
未来の環境を構想する
建築家・重松象平が見つめる、都市と建築のこれから
未来の環境を構想する


都市、アート、ファッション、文化など、多様な領域を横断しながら、その場所に流れる空気や人々の行動、社会の変化を丁寧に読み取り、新たな環境へと昇華させてきた。
各界の第一線で活躍する人物に迫るFIRST.L「CLOSE UP Executive」。
今回は、福岡出身で世界を舞台に活躍する重松氏にクローズアップし、その建築観や都市への眼差しについて話を聞いた。
福岡に生まれ、現在はニューヨークを拠点に世界の都市を見つめる重松氏は、変化し続ける現代において、建築に何を見出しているのか。
都市と建築、そして文化が交わることで生まれる新たな可能性について、その仕事と思想を辿る。
都市・社会を読み解き、
変化を形にする
福岡に生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動する建築家・重松象平氏。1998年よりOMAに所属し、2008年からニューヨーク事務所代表を務めている。
その活動は建築や都市計画にとどまらず、文化施設、商業空間、ファッション、アートまで多岐にわたる。
重松氏が建築を考えるうえで大切にしているのが、都市や社会の変化を読み取ること。人々の価値観や働き方、街での過ごし方が変われば、求められる空間も変化していく。
建物だけを見るのではなく、人がどのように集まり、過ごし、街と関わるのか。時代の変化を捉えながら、新たな環境を建築として形にしていく。
街に開かれ、
人の流れを生み出す建築
その視点は、故郷・福岡で携わった「天神ビジネスセンタービル」にも表れている。

【天神ビジネスセンター】
重松氏が設計を手掛けた低層部では、大きく開かれたアトリウムや広場的な空間によって、建物の内外をつなぎ、人の流れを生み出した。
働く人だけでなく、街を行き交う人も自然に立ち寄り、過ごすことができる。建築を閉じた存在ではなく、街の一部として捉えることで、人の行動や交流、新たな都市の風景へとつなげている。
都市を編み直し、
多層の流れを生む
東京の「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」では、さらに大きなスケールで都市との関係を構築した。

【虎ノ門ヒルズ ステーションタワー】
地下鉄駅と街、オフィス、商業施設、広場、そして地上と地下。
それぞれを分断するのではなく、複数の動線をつなぎ合わせることで、多層的な人の流れを生み出している。
すでにある都市の文脈を読み取り、新たな関係性を加えていく。そこには、都市を完成されたものではなく、変化し続ける存在として捉える重松氏の視点がある。
建築とファッションが交わり、
新たな体験へ
重松氏の活動を特徴づけるもうひとつの領域が、ファッションやアートとの協働だ。
ルイ・ヴィトン、Dior、ティファニーなど、世界的ブランドとのプロジェクトを数多く手掛け、ブランドの世界観を「空間として体験する」場へと昇華させてきた。
【大阪・関西万博2025
フランス館ルイ・ヴィトン展】

【大阪・関西万博2025
フランス館ルイ・ヴィトン展】
【中之島美術館のルイ・ヴィトン
「ビジョナリー・ジャニー」展】
作品をどう見せるかだけではなく、人がどのように歩き、何を見て、何を感じるのか。展示物、建築、光、素材、動線を組み合わせながら、空間そのものに新たな体験を生み出していく。
ニューヨーク・マンハッタンのティファニー本店「Tiffany Landmark」でも、歴史あるブランドのアイデンティティを受け継ぎながら、現代へとつながる新たな空間を提示している。
建築から、都市の未来を考える
ニューヨーク、東京、福岡をはじめ、世界のさまざまな都市と向き合ってきた重松氏。
その仕事から見えてくるのは、建築とは単に建物をつくることではなく、社会や人の変化を受け止め、新たな関係性や体験を生み出すものだということ。
都市の気配を読み、その土地の歴史や文化、人の動きを受けとめながら、これから必要とされる環境を構想する。
重松象平氏の建築には、変化し続ける都市とともに、次の時代の風景を描いていく視点が息づいている。
【Profile】
建築家 / OMAニューヨーク事務所代表
重松 象平
1973年生まれ。
九州大学工学部建築学科卒業後、1998年よりOMAに所属し、2008年パートーなーに就任。
ハーバード大学GSDやコロンビア大学GSAPPの客員教授を歴任し、現在は九州大学大学院人間環境学研究院教授として教育・研究にも携わる。
BeCAT(Built Enviornment Center with Art&Technology)センター長。
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